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「いくら木嶋さんの頼みでも、それだけは勘弁して欲しい……」
石黒は困惑しきっていた。
小山のプロジェクトの担当が美月になり、しかも毎日自分を説得にくる。
「私、諦めません!石黒さんがやってくれるまで、毎日ここにお願いしにきますから!」
「シンヤ ミヅキガ キライ?」
アニーが石黒を覗き込む。
「なんて事を言うんだアニー!そんな訳ないだろう!……小山先輩のプロジェクトだけは……」
「ミヅキヨリ コヤマジージガ スキ?」
「そうじゃなくて!」
「ジャア ドッチガ スキ?」
「アニー……おもしろがってるだろう」
アニーはキャッ、キャッと逃げて行く。
「木嶋さん、僕にとって先輩は特別な存在なんです……わかって下さい。僕にはできない……先輩の引退の為のプロジェクトなんか」
「小山さんの最後の夢なんです!研究所セクションの北山さんを責任者にするのが!夢を叶えさせてあげて下さい!」
「僕は……」
こんなやりとりが一週間も続いている。
美月は石黒に、プロジェクト担当者と北山を脅かすライバルとして、研究所セクションに乗り込んで欲しいと懇願する。
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