241人が本棚に入れています
本棚に追加
教会の鐘が高らかに鳴り響き、二人の門出を祝福する。
「おめでとう!」
「おめでとう!冴子綺麗……」
胸から腰にかけて、流れるような薔薇のレースをあしらった流行りのタイトなウェディングドレス……。
頬を少しあからめた山口冴子は、とても美しい。
結婚式を終え教会から出てきた二人に、花びらのシャワーが降り注ぐ。
山口は手にしていたブーケを空高く投げた。
きれいな放物線を描き、ブーケは山口の目論み通りに美月に落ちて行く。
パサッ……
「おぉ!私だよ石黒君!山口くんのブーケを私が!」
山口の投げたブーケは、美月の後ろにいた円谷社長の手に落ちた。
「……社長、社長がブーケをつかんでどうするんです!」
石黒は社長からブーケを取り上げようとするが、社長は離さない。
「失礼だね、石黒君!次に幸せを掴むのは私なんだよ!うん!」
社長と石黒が小競り合う間に、何かしら歓声が上がった。
最初のコメントを投稿しよう!