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喜びの絶頂にいる花婿の滝山修二は、妻になった冴子を抱き上げた。
あっ!つまずいた……。
滝山は冴子を放り投げ、前のめりに倒れ顔面を強打した。
歓声が悲鳴に変わる。
放り出された冴子を、階段の下で受け止めたのは……。
「大丈夫ですか、さ、冴子さん!」
ガッシリとお姫様抱っこで冴子を守ったのは、工場長の山城猛だ。
「ありがとう山城さん!あの馬鹿……」
「まったく!先が思いやられる……」
山城はため息をついた。
「冴子さん、大丈夫?山城さん!いつまで僕の妻に触っているんです!冴子さんは僕の妻ですから!」
「妻、妻と連呼するな!今だに冴子さんを射止めた事に自信がないくせに!」
山城が冴子をそっと下ろすと、
「王子様みたいね?」
「何て言う人?」
冴子の友人達が、逞しい山城に目を奪われている。
山城は赤くなって俯いた。
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