241人が本棚に入れています
本棚に追加
さっそく社長室には石黒が呼び付けられる。
「新しいプロジェクトを立ち上げるよ、石黒くん」
「新しいプロジェクトですか?今度はどんなプロジェクトです?」
「小山さんの後任候補を選ぶんだ!小山さんから依頼されてね……」
石黒の顔がみるみる曇り、社長の言葉を遮った。
「後任って……待って下さい社長!小山先輩を引退させるつもりですか?」
いつもは冷静な石黒が、興奮して社長に詰め寄った。
麒麟COMPANYに入社した石黒は、小山に育てられた。
研究所セクションだけでなく、幅広い見解を身につけてくれたのは小山だった。
石黒の最も尊敬する人物だ。
それ故に石黒が怒る気持ちが、社長には痛いほどわかる。
「落ち着きなさい石黒くん」
秘書ロボットが石黒をソファーに座らせる。
「小山先輩が……まだまだ現役です!僕は嫌です、そんなプロジェクトは!」
社長は石黒の前に座ると、
「石黒くん、働く戦士達はね……皆、引き際がある。私も、そして君もいつかね?それを決めるのは会社じゃない。自分が決めるんだ」
社長の重い言葉が石黒にのしかかる。
最初のコメントを投稿しよう!