泰三さんを継ぐ者

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さっそく社長室には石黒が呼び付けられる。 「新しいプロジェクトを立ち上げるよ、石黒くん」 「新しいプロジェクトですか?今度はどんなプロジェクトです?」 「小山さんの後任候補を選ぶんだ!小山さんから依頼されてね……」 石黒の顔がみるみる曇り、社長の言葉を遮った。 「後任って……待って下さい社長!小山先輩を引退させるつもりですか?」 いつもは冷静な石黒が、興奮して社長に詰め寄った。 麒麟COMPANYに入社した石黒は、小山に育てられた。 研究所セクションだけでなく、幅広い見解を身につけてくれたのは小山だった。 石黒の最も尊敬する人物だ。 それ故に石黒が怒る気持ちが、社長には痛いほどわかる。 「落ち着きなさい石黒くん」 秘書ロボットが石黒をソファーに座らせる。 「小山先輩が……まだまだ現役です!僕は嫌です、そんなプロジェクトは!」 社長は石黒の前に座ると、 「石黒くん、働く戦士達はね……皆、引き際がある。私も、そして君もいつかね?それを決めるのは会社じゃない。自分が決めるんだ」 社長の重い言葉が石黒にのしかかる。
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