始まりの音

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耳の奥から、サイレンの様な音が響く。 いや、良く聞くと沢山の人間の声。 悲鳴だ。 一体、何が起こっているんだろう? 僕は目を開けた。 「えっ…。」 僕の目の前で、沢山の人間の身体から真っ赤な液体が噴き出している。 それも、老若男女関係無くだ。 「な、何?」 何故、僕の目の前の人達は次々に身体から真っ赤な液体が? 中には内臓が飛び出し、その内臓を誰かの手が引っ張り出している場面も。 こんな惨事を見ているのに吐き気はおろか、何か心の奥から得も言われぬ感情が溢れ出している自分に気付く。 ワクワクと言うか…人が死んで行く姿に興奮している。 「あはは。」 楽しい…。 心の奥がどんどん熱くなって… 「皆、死ねよ!!」 僕以外の人間は要らない!! 僕を馬鹿にした田崎。 僕を殴って金を奪ったチンピラの男。 僕が転んだのをクスクス陰で笑った女子!! 見て見ぬふりをした担任の西野!! 皆々、死んでしまえ!!(笑) お前達が死んで泣く人間より、僕の喜びの方が断然大きいんだよ!! 「あはははは(笑)」 この惨事を作った張本人は僕だ。 ━━━━━━━━━━━━━ 準備を済ませて、今日もつまらない学校へ行く。 途中、いつもの様にチンピラの男と鉢合わせ。
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