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チンピラの足跡が消え、そこから砂煙りが舞う。
僕の味方は誰一人として存在しない。
おばさんも、おじさんも僕を自分の家に受け入れる事なく孤児院で育った。
だけど、その孤児院でも僕は独り。
右腕の火傷を怖がる子供と、僕に疑いの目を向ける大人だらけだった。
僕の事を受け入れてくれるのは院長先生だけだと、院長先生には心を開いていたのに院長先生も皆と同じだった。
僕の事を聞きに来た新聞記者の人に、院長は得意気に
『えぇ、確かにその放火をした子供は私共が預かってますよ。
放火ですか?えぇ、ちゃんと私には本当の事を教えてくれました。
"放火は僕がしたんだ"…ってね。』
僕が壁を透して聞いていた事を知っていて、僕の方をニヤリと笑って見ていた。
その瞬間、僕の中(心)で初めて人を殺してやりたいって感情が芽生えたのを、僕は今でも覚えている。
「きゃっ!!」
「うわ…。」
「汚ねぇ…。」
「何?何?喧嘩?」
僕が学校の廊下を歩いていると一時間目が終わり、休憩の為にトイレや職員室に立った生徒達が、ズタボロ姿の僕を見てコソコソ話す。
そんな連中を無視して僕は、自分のクラスの自分の席へ座る。
それから五分がたっただろうか?位に校内放送で僕は呼ばれた。
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