第1章、異世界から来た男

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西暦2099年、北太平洋上某所 「こちら、フィンガープリンセス、駄目だ!追い付けない!」 人型の機体が二機、空中戦を繰り広げていた。 先頭を行く機体は、鎧武者の外観に扇の様な翼が生えた。正直、綺麗とは言い難い形だ。 後を追いかける機体は、これぞ航空機と思わせる、流麗なフォルム。 機体のデザインがそのまま性能の差として表れる筈だった……。 『これが、奴らとの力の差……』 同じ機動兵器なのに決定的に基本スペックが違うのだ。 彼等の隣で空を見上げる開発技術者達が、溜め息とも諦めとも着かない声を上げうめく。 奴らは、こう呼ばれていた。 通称、イントルーダー。 (侵入者) 奴らの力は、半端ではなかった。 アメリカ太平洋艦隊、極東方面軍機動部隊は、破れた……。 たった一機の機動兵器に、手も足も出ずにだ。 航空戦艦一隻撃沈のオマケ付きだ。 「あー駄目だな、勝負にならんな……」 整備長のフーバーが、煙草を吹かしながら呟く。
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