第2章、女神の楯

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ハワイ諸島。この常夏の楽園は、日本に近い方から順に、ニイハウ、カウアイ、オアフ、モロカイ、ラナイ、マウイ、カホオラヴェ、ハワイの主要8島からなっている。 アメリカ海軍、太平洋艦隊総司令部は、その中のオアフ島にあった。 1908年に設置され、太平洋全域に、睨みを効かせていた。 通称、パールハーバー、日本語では、真珠湾。かつて、旧日本帝国海軍機動部隊が奇襲をかけ、日米開戦発端の地となった、曰く付きの場所だった。 そこに、ガラパゴスは入港してきた。正面の港湾入り口は狭い、右手にホノルル国際空港があり、民間の旅客機が世界中から観光客を運んで来ていた。 入り口から扇型に広がる湾内は半島で大きく二つに分かれ、右手の島には、飛行場が造られている。 湾全体が海軍基地になっていた。 外洋から着水すると、ガラパゴスは滑る様に海面を航行し湾内に吸い込まれて行く。 「停泊準備!機関微速前進」 「機関微速前進ーっ!!」 バルカ艦長の指令を復唱する李副長。 静かに港の沖に停止するガラパゴスの艦内にバルカ艦長の声が響く。 「あー、艦長のバルカだ、全乗組員の諸君、任務の無事遂行に感謝する。次の任務まで10日間の休息を許可する。全舷上 陸を許可したので、当直要員を除く各セクションで対応をお願いする、良い休息を!」 各所で、残り組と休息組に分かれての作業が始まる。航空機動セクションでは…、クロウとフーバーが休息組、丈児、ロッソ、グレッグが残り組だった。 「クロウ、大丈夫かぁーっ」 「大丈夫でござるよ、相手も人間でござる」 丈児達の心配をよそに、クロウは、久しぶりの外出に気持ちが高ぶるのか、落ち着きなく歩き回っている。
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