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ピピピピピ!
『ん……』
いつものように目覚まし時計が鳴り響き、それを止める為に手を伸ばす。
ガシャン!
『あ……』
強く叩いたのか、目覚まし時計は床に叩きつけられて壊れてしまった。
『あーあ……壊しちまった』
若干後悔をしながらもベットから体を起こし、姿を露わにする。
彼の名は柊 紫苑
今現在高校生活二年目に突入している17歳である。
『今何時だ……?』
壊れた時計に目を向け、時間を確認しようとする。
壊れた時計が指す時刻は七時、高校に到着しなければならない時刻は九時
家から高校までにかかる時間は三十分
最低でも八時半には家を出ないと間に合わない。
『まだ余裕はあるか』
紫苑は手早く着替えを済まし、朝食を食べる為に部屋を出て行く
その際に何気なく携帯を見た。
何気なく見たはずだが、紫苑は目を丸くした。
何故なら、携帯に映し出されていた時刻は……
『八時……二十五分!?』
そう、携帯に映し出されていた時刻は八時二十五
再確認しよう。
高校に行かなければならない時刻は九時
家から高校までにかかる時間は三十分
よって………
『遅刻だ…!』
紫苑は絶叫しながら大慌てで部屋を飛び出し、朝食も食べずに外へ出て行く。
『行ってくる』
紫苑は家の鍵を閉め、凄い勢いで走り出した。
「行ってくる」
そう紫苑は言っていたが、誰にも聞こえていなかった。
紫苑の両親は、紫苑が小学生の時に二人共行方不明となってしまったのだ。
まだ幼かった紫苑は叔母に引き取られたが、高校に入って叔母も他界。
それから紫苑はただ一人でこの家に住んでいたのだ。
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