さて、潰しましょうか

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「なんだてめ……」  群れる男たちの一人が威勢よく声を張り上げるが、その言葉は最後まで続かない。  メフィストの靴底を顔面に受けて、倒れる。 「悪ぃけど、うるせえわ」  腕組みしたままメフィストはあくびをして、彼らを見る。  なんとも敵意丸出しの視線を浴びせられても彼は笑っていた。  倒れた男を掴み上げ、軽々持ち上げる。 「これどうすると思う?」  飄々とした雰囲気のまま、男片手に問いかける。  誰も答えない。  否。  誰も答えることができなかった。  メフィストが軽々と持ち上げる男は、彼よりもたくましい筋骨隆々な肉体を誇り、その身長も高い。  にもかかわらず、メフィストは持ち上げているわけだ。 「あ? 解答なしかぁ? 仕方ねえな……」  もう少し反応あってもいいのになぁ、と持ち上げた男に言ってみる。  気絶している者が答えるわけもないだろう。  つまらなさそうにメフィストは言った。 「ぶん投げるわ」  円盤でも投げるように横に手をやって、思いきり投げつける。 「うわッ!」  受け止めることも、避けることもできない何人かがまとめて吹っ飛んだ。  唖然とする彼らを前にメフィストは一人ガッツポーズ。  倒れていたキアでさえ、彼の様子にぽかんと口を開けて見入っている。 「あのー、逃げますよ?」 「わッ!?」  そんな少年の肩をたたいたのは、にこやかな笑みを浮かべたルキだった。   
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