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「ガキごときが俺様たちに逆らおうってか!? ははッ! こりゃ傑作だッ! 悪いがここに近寄る奴には容赦するなって言われてんでね!」
そんな喧騒が聞こえてきたのはそれからまもなくのこと。
乱立する木の影に、二人は身を潜めて様子をうかがう。
見えたのは、足蹴にされる子供だった。
「あんたたちみたいな奴ら、みんな死んじまえばいいんだッ!
街に来た奴もあんたらも……俺が殺してやるッ」
薄茶の髪をした、まだ十四、五歳の子供だ。
石を投げ込んできた少年、キアなのだろうと想像はつく。
顔に痛々しい痣を、か細い手足に擦り傷を作って、地面に倒れ込んでいる。
その小さな手が、乾いた地面を握りしめていた。
「街ぃ? なに言ってやがんだ」
「なにって、あんたらの仲間がッ!」
せせら笑う男にキアはむせ込みながらも反論する。
卑下たまなざしで、男はキアを蹴飛ばした。
うめくキアを数人の男たちが取り囲んで、殴る蹴るを繰り返す。
ルキがメフィストの背を押した。
「人使い荒れえな……」
「肉弾戦担当はメフィでしょ。ほら頑張って!」
「はいはい……」
頭をボリボリかきむしりメフィストは地面を蹴る。
橙の髪をなびかせ、彼らの前に降り立った。
「さーて。狩らしてもらうぜ、クソ野郎ども」
「なんだッ!?」
慌てふためく彼らの前で、メフィストは不敵な笑みを浮かべていた。
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