クリスマス

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クリスマス

1943年12月25日 “ベニー・ガードナー” 上記の者入隊試験に合格した故、第1歩兵師団への入隊資格を与える。 「父さん、合格したよ」 ベニーの声が神聖な夜に響き渡る。 「馬鹿野郎」 父の意外な返事に戸惑った。 「なんで喜んでくれないのさ」 「17になったばっかりの小僧が戦争なんてするもんじゃねぇ」 父の声からは怒りと悔しさがあった。 自分が体験した戦争を一人息子に体験させたくなかった。 戦場では人の命が突然尽きてしまう。 弾丸が飛び交い、砲弾が炸裂する。 「父さん」 部屋にベニーが入って来た。 「死にたいのか」 自分の声がやけに冷たかった。 ベニーは戸惑っていた。 「死ぬなよ」 30年振りに泣いた。
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