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【 屋上 】
『 あぁ、飯でも食うか。』
駿は、その辺りにあったベンチに座った。
しばらく時間がたってから、何やら人が増えてきた。その中には、莉緒の兄の 亮もいた。
屋上には、バスケットのゴールが設置してあった。
『よ~し!始めよ~ぜ!!』亮の一言で3on3が始まった。
流石に亮の動きは、他を圧倒していた。
しかしそんな中、駿の目には違うものが映っていた。
一人の新人らしき男だった。彼は、基本のドリブルを練習しているようだ。
駿は彼に近付き一口 言った、『もっと腰をおとして目線を前に向けて…』
いきなりの言葉に彼も戸惑いをみせていた。 だが駿の目を見て 言葉どうりにやってみた。
それを見た駿は一言『 よし!』と言うと、そこから立ち去って行った。
『 よし交代だ!』
亮が休む為にベンチに座った。
目の前には、先ほど駿が助言した男がいた。
『あれっ? お前この前入部したばかりの、初心者じゃなかったっけ』亮が不思議そうに言った。
『ハイそうですけど…何か?』男が緊張した面持ちで言った。
『嫌 、 やけに綺麗なフォームのドリブルだったものだから…… 偉いな!!お前、いつから練習してるんだ。』
亮が問ただした。
『いいえ、今日からですよ。』男は答えた。
『そんなはずは無いだろう、しっかり出来てるじゃないか! 昨日、今日で出来る型じゃないぞ!』亮が褒めながら言った。
『あ 、ありがとうございます先輩…… でもこれは、さっきここに座ってた人が教えてくれたんですよ。』男が 尊敬の眼差しで言った。
『さっきって俺達の他に、バスケ部の奴はいないんだぜ。』亮は 彼の頭を〈 ポン 〉と叩くとバスケの輪に戻って行った。
『本当なんだけどな…。』彼は納得しないまま、 また ドリブルの練習を始めた……。
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