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【3】
あとから年配の先生に聞いた話だが、昔この学校に父親の借金苦のため一家心中した生徒がいたらしい。それは雪が降るような夜の出来事だったとか。
その生徒が少女かはわからないが、名前は訪ねなかった。
なぜなら礼二にとって少女は『セツ』であるからだ。
薄い唇で自嘲するように笑った。
ふいに、心の中で少女も笑った気がした。
(end)
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