父兼遠と巴

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「兼遠殿、兼遠殿!!」 駒王丸は歩きながら巴の父を呼び出した。 「何事に御座りますか!!」 兼遠が慌てて館の一室から飛び出してきた。 「申し訳ござらぬ。私が付いていながら女の巴に怪我をさせてしまった。」 「構いませぬよ。女といえど、この中原家の者。そんなに柔に育てた覚えはありません。…そうだな?巴。」 兼遠は、巴を一瞥して言った。 「…はい…ここまで肩を貸していただきありがとうございました。」 巴は、駒王丸に臣家の礼をとった。 「さぁ、駒王丸様。中で茶でも一献。」 兼遠は駒王丸を先に立たせ、館内へ招き入れた。 「巴!あとで部屋へ。」 兼遠は、巴に目もくれず館内へと戻っていった。
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