序章

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「尼様、尼様。お話聞かせて。」 老尼の周りに子供達が集まる。 「お月さまに帰った女の子の話をしようかねぇ。」 老尼は、庵の縁側に腰掛けた。 「こないだ聞いたよぉ。」 子供達は口々に言った。 「そうかい、そうかい。この話はしたかね。すまないねぇ、年を取るとどうもねぇ。」 老尼は、笑った。 「なら、ある人の昔話でもしようかねぇ。」  老尼は、遠い昔を思い出すかのようにぽつりぽつりと話し始めた。
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