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名前なんて、知らない。
皆から『帝』や『お上』と呼ばれているヒト。
たまに来てくれて、面白い話を聞かせてくれる。
穏やかだけど、面白くて頭が良い。
その時だけは、重い衣装も何も気にならない。
「かぐや姫」
「…なに?」
帝が、私の名前を呼ぶ。
愛しいヒトの名前を呼ぶ時のようや、囁くように。
私は、帝の私の名前を呼ぶ時の声が大好き。
「後宮に、あがらないか?」
「…」
この頃、訪れる度に言われる言葉。
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