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私が、月を見ては自然と涙が流れてくるから、おじいさんとおばあさんは私を心配した。
だからなのか、帝が私のところに来てくれる日も増えた。
「かぐや姫、この頃元気が無いね」
「…そんなことないですよ」
苦笑いをして、やり過ごそうとした。
でも、帝が丁度御簾を上げていて、すでに満月に近い月が見えた。
「…っ」
流すつもりはなくても、自然と流れてくる、涙。
帝が、やはりと言うような表情をしているのが僅かに見えた。
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