二、いない

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  倉本の容姿行動仕草、全てに。     慣れてしまったからだ。     だから、という訳でもなかろうが。 高校に入学した時に倉本から美術部に入ろうと誘われた時、みしろは断らなかった。   彼がどうして美術部に入りたかったのか、そもそもどうしてみしろについて離れないのか、その理由は定かではないが、特に嫌ではないから、みしろは倉本を受け入れている。   何を着ても何処に居ても不自然な彼は、不思議とみしろの隣に居るのが自然になっていった。 違和感が欠片もない。 その一つだけだ。       篠原みしろの隣。       それだけが彼の、倉本という人間の、浮かない馴染んだ居場所である。  
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