二、いない

13/33
前へ
/804ページ
次へ
  みしろは不快感を隠そうともせず、眉根を思いっ切り寄せた。   「……川瀬先生」   「あぁ篠原さん。相変わらず可愛いねぇ!」   川瀬友也(カワセ トモヤ)。 煩いが、一応、美術部の顧問である。 年の頃は三十代前半。 平凡な容姿とは裏腹に、非凡過ぎるこの性格。   「聞き飽きました」   冷たく言い捨てると、川瀬教員はケタケタと笑った。   「そうだねぇ可愛いもんねぇ! 仕方ないよ!」   ……何が言いたいんだこの馬鹿は。  
/804ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2379人が本棚に入れています
本棚に追加