二、いない

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  煩いのは戴けないが、それ以外で嫌なところはないので、みしろは川瀬教員が嫌いではない。   川瀬は他の教員のようにみしろを腫れ物扱いしない。倉本にも同様だ。   そして、何を創ろうとも創らなくとも、川瀬は部員等に一切口出ししない。 だから、入部以来卒部する迄一度も作品を創っていなくても、みしろは文句を言われなかった。   そして今、卒部してもだらだらと部室に、何をするでもなくぼぉっと居座っている二人にも、説教など垂れない。 勿論、本来居るべき部員にも。   心が広いのか、単にどうでもいいのかは解らないが、煩いのを我慢すれば自由にさせてくれる、みしろにとっては都合の良い人間だ。  
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