二、いない

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  答えるまでもない。   「見ての通りですが」   「だよねぇ」   川瀬はケタケタと笑いながら教壇の上のボストンバックを開けた。       ――大きな木片が入っていた。       「残念だなぁ。鍵戸さんなら喜ぶと思ったのに」   「……?」     「柊だよ」     「え?」   「篠さんにも言っていただろ? 次の作品には柊を使いたいって」       ああ、とみしろは納得する。  
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