二、いない

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  二年生の鍵戸は、彫刻メインである。『美術』と言うとなんとなくイコールで絵画を思い浮かべてしまうみしろだが、顧問の川瀬はプロの彫刻家で、それに師事したくて入部する部員も少なくない。     鍵戸加里沙もそのひとりだ。     彼女は人懐っこくて可愛らしい、一見すると普通の女の子なのだが、その創作意欲は並々ならぬものがある。   けれど、みしろがつられて真剣になる事はなくて、真面目に彫刻刀を持つ鍵戸をぼおっと眺めているだけだ。  
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