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「言ってたっけ、そんな事」
うん、と倉本は頷く。
鍵戸は何故か入部当初からみしろになついていて、色々と話し掛けてくる。
が、みしろは興味がなく、話を聞いていない場合が多い。
敢えて興味がない事を言う必要もないし、隠す必要もない。
みしろは大概の感情を態度や表情で表し、言葉では表現しない。
まぁ、こんなだから『無愛想』だの『無神経』だの言われる訳だけれど、性格だから仕方がない。
鍵戸はみしろのそんな態度や表情を気にせず、一方的に話しているだけなのだ。
基本的に無関心なみしろは、彼女が一生懸命何かを話していたなぁとは思うものの、具体的に何を話していたかは覚えていない。
だから鍵戸が柊の話をしていたなんて知らない。
そして当然ながら、なんの木が彫刻に向いてるかなんて知らない。
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