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「何?」
黒い髪。
ひらひらと流れる長い前髪に隠された眼は、閉じられている。
185センチだったろうか。
何にせよ、背が高い事に変わりはない。
学ランの似合わない美少年。
「筆は口にくわえるものではないよ。また川瀬教員に指摘されるよ」
美少年は腕を組んでみしろの隣の白い壁に凭れていた。
そしてぼそぼそと聞き取り難い声でみしろに言う。
みしろは顔を顰めた。
「解ってるよ、倉本(クラモト)」
みしろは“在る方の”腕で口にくわえた絵筆を取り、窓辺から離れた。
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