終、各々。

15/32
2378人が本棚に入れています
本棚に追加
/804ページ
  だから女性に好かれるのだと思う。       そんな鎹正規は、小野の自慢の友人――親友だ。       小野は有り難みを感じながら、目の前の缶コーヒーを手に取った。     「そういえばさ」     珍しく、小野から口を開いた。     「あ?」   「かす……は、駄目。まさ……も、駄目」   「あー。取り敢えずオレな。なんだ」     鎹の呼び名に迷う小野に、鎹は面倒臭そうに言った。   話が進まない。   小野は、缶コーヒーを飲みながら、えっとねと再び口を開いた。     「どんな人って言われる?」   「……は?」     鎹は、コーヒーを飲む手を止めて。     「お前なに言ってんだ」   「だから。どんな人って言われる?」     小野の問いは同じであった。       ――どんな人と言われるか。       鎹は、乱れた髪をくるくるといじりながら考える。  
/804ページ

最初のコメントを投稿しよう!