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だから女性に好かれるのだと思う。
そんな鎹正規は、小野の自慢の友人――親友だ。
小野は有り難みを感じながら、目の前の缶コーヒーを手に取った。
「そういえばさ」
珍しく、小野から口を開いた。
「あ?」
「かす……は、駄目。まさ……も、駄目」
「あー。取り敢えずオレな。なんだ」
鎹の呼び名に迷う小野に、鎹は面倒臭そうに言った。
話が進まない。
小野は、缶コーヒーを飲みながら、えっとねと再び口を開いた。
「どんな人って言われる?」
「……は?」
鎹は、コーヒーを飲む手を止めて。
「お前なに言ってんだ」
「だから。どんな人って言われる?」
小野の問いは同じであった。
――どんな人と言われるか。
鎹は、乱れた髪をくるくるといじりながら考える。
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