2378人が本棚に入れています
本棚に追加
/804ページ
なんて言われた、と鎹はコーヒーの入ったコップを置いて問うた。
小野は、田中深雪の姿を思い出しながら答える。
「水」
「うん?」
水のような人ですね――。
「小野さんは、水のような人ですねって言われた」
小野の答えに、ああ、確かに誠志って水みたいだよなと、鎹は大して驚きもせずに言う。
「それはオレも同感だ」
「そうなの?」
「ああ」
頷く鎹に、小野は。
「どういう意味かな?」
「あー……。そういうことか。わかんねぇよな、誠志には」
鎹は納得したように呟いた。
「うん。わかんない」
「そうだな……。お前、スポンジみたいとかも言われたことねぇか」
「ある」
確か、茅葺荘司に言われた。
最初のコメントを投稿しよう!