第一章:覚えのない教室

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俺達は自分達の教室に向かっていた。こいつ…奈美とは腐れ縁でよく同じクラスになるのだ。思えば中学の時に一回違うクラスになっただけだな。   「ほら。着いたわよ。さっさと取ってきなさいよ。私はトイレ行ってくるから」   奈美はそう言うとトイレに行ってしまった。   「おい!一人にすんなよ!」   さすがに女子トイレまで追いかけられないな。俺は変態じゃないしな。   「しょうがない。さっさと探すか」   俺はとりあえず机の中を探った。   「あった!」   思いの外すぐに見つかった。   「さてと奈美が帰って来るまで待つか」   俺は奈美を待つために廊下に出た。廊下に出るとよりいっそう雰囲気がある。   「はやっくこないっかな~♪」   気を紛らわすための訳の分からない歌を歌ってみる。すると歌っている途中でいきなり   「ガタッ!!」   と音がした。思わず俺は   「うわぁ!」   と叫んでしまった。   「な、な、なんだよ椅子かよ…。分かってたよ!わざと驚いてやったのさ!」   …とバカみたいなことを言って誤魔化してみた。   「はぁ…。奈美早く来てくれよ~」   俺はビクビクしながら廊下を見渡した。 右側には果ての見えない闇がある。左側には…   「あれ?」   俺はある異変に気付いた。
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