677人が本棚に入れています
本棚に追加
/381ページ
ヤクザ騒動から2ヶ月ぐらいたったのだろうか。俺は親分がまた会いにくると信じていた。
梅雨を感じさせる雨だ。雨は嫌いじゃないが、好きでもない。時と場所に都合よく降ったり、降らなかったりしてくれるのが一番いい。
ふと家の前まで来ると傘を持った男が立っている。顔は隠れて見えないが背が高く、がっちりしている。
俺:「あの~。何かご用ですか?」
話し掛けた俺に気づいたのか、
竹内力似:「おい、ずいぶん遅せぇじゃねーか。朝の9時から待ってたんだぞ。」
知りませんよ。第一、なんで9時?俺、家出るの7時。
ってことは1日中、傘さして突っ立ってたわけか。この人もバカだ。
俺:「はぁ…すみません。」
なんで俺が謝らなきゃならねぇんだ。
竹内力似:「まぁいいから、早く支度しろ。」
何?支度?
俺:「どこか行くんですか?」
一度、家に帰った俺は適当に遅くなる理由をつけて出てきた。会長(元大沢親分)と会いに行くのにラフな格好でいいんかい。
外に出た俺は裏の路地に止めてある車に乗った。
清水:「自己紹介が遅れたな。俺は清水力だ。おそらく、これから長い付き合いになるだろうからよろしくな。」
最初のコメントを投稿しよう!