出生

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  ───何だ?あの箱は。    箱を開けてリーダーの天使が微笑んだ…いや、この場合は微笑んだって言えるのか?目が笑ってねぇ。  だだっ広くて綺麗過ぎるこの部屋に、嫌な空気が流れるのを俺は感じた。 「…殺すなら、さっさと殺せ!」  俺の叫び声が石造りの部屋にワンワンと反響するが、天使どもは嫌な笑顔を浮かべてその場に居る。 「口の減らない小悪党ですね。 せっかく生かしておいてやろうと慈悲をかけているというのに。」  リーダーの天使が箱の中身を取り出して俺の前に持って来た。 ───桃?  俺の目の前にはどう見てもただの桃が一つ。 「食い物なんかでどーする気だ!?」 「あはははは!愚か者め! これがただの桃だと思うとは!」  リーダーの天使が声高に笑うと、周りの奴等も蔑みの笑いを俺にぶつけて来た。 「これは、貴様のような愚鈍な輩の忌まわしい力を封じ込め、天界から追放する『入れ物』!」  
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