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かたかたかたかた……
静かな風に吹かれて、網戸が小さく鳴いている。
首を曲げて見上げた空は薄暗い。今日の夜は雨だって、お天気のお姉さんが、確かそう言っていた気がする。
夜には降り出すであろう雨の匂い。それを含んだ空気が薄着の自分には肌寒かった。
狭いベランダに丸くうずくまった私は、ちっちゃな声で呟く。
誰にも聞こえない位、
ちっちゃな声で。
「ひーとりぼおっち……」
また、風が吹いた。
「君も、独りぼっち?」
あれ、
誰にも聞こえない。
そう思っていたのに、聞こえてしまっていたみたいだ。
隣のベランダから、声がした。
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