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「そういえば真由ちゃんはどうしてベランダにいるの?」
会話の最中、瞬くんがなんの前触れもなく尋ねてきた。
言葉がつまる。
私にとって、それはすごく答えにくい質問だった。答えちゃいけない、質問だった。
「真由ちゃん?僕変なこと聞いちゃった……?」
だけど瞬くんが申し訳なさそうな声で謝るから、私まで申し訳ない気持ちになって、
勇気を出して、口を開いた。
「今……ママのお友達のお兄さんが来ててね。『邪魔だから、ベランダに出てなさい』って……」
少しの無言。
そんな空気を打ち消したくて、必死になって言葉を探した。
「い、いつものことなんだ!私も、もう慣れちゃったよ!」
あははっ……、
かわいた笑いがベランダに響く。
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