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「はぁっ? なんで俺が」
広美から夏祭りの誘いを受けるなんて、思ってもいなかった。そっか、今日は旧暦七夕。どおりで、県外ナンバーが異常に多い訳だ。
バスの待合室は熱気を溜め、日の光は避けられたのは良かったが、熱射病になるんじゃないかとすら思える程の蒸し風呂だった。
「三原くん、今日ここにいるってことは時間あるっていうことだよね? 実は私も、一緒に行く人いなかったから」
「他のクラスメイトとは、一緒に行く約束しなかったのか? 俺となんかより、そっちの方が絶対楽しいと思うんだけど」
俺がそう言うと、広美は元々大きい目をさらに大きく広げた。そして二回大きく瞬きをし、溜息をついた。
「夏子はね、昨日から盛岡のおばあちゃん家に行ってるらしくて、私一人じゃお祭り行っても寂しいから……そしたら丁度、三原くんがいたから、ラッキーと思ってね」
「で、俺がめでたく広美の保護者に大抜擢されたと」
「ううん、そんなんじゃない、そんなんじゃないよ」
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