第一章-2“守護林の少女-起床ー”

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「よし。今日はイリスの泉の方にに行ってみようかな?」 あそこの近くにはキャリーベリーの林がある。 ついでに泉の辺に自生しているレバントも採ってこよう。とてもいい匂いなんだ。 レバントはうす紫色の小さな花を咲かす。 そこからはとても心が安らぐ匂いが香ってくる。私の好きな花。 そしてもう一つ忘れちゃいけないのが匂い袋、つまり香水として女性や特に貴族に重宝されているということ。 つまりお金になるってこと! 手製のバスケットに薄桃色の布を被せたら後は行って採り、村で捌くだけ。 今日は足りなくなったガウディを買い足すつもりだ。 聖女様やら姫巫女さまとは呼ばれているが、呼んでいるのは主に年が多い人たちで、若い人たちはちゃん付けや名前で呼んでくれる。 同年代や年下には名前で呼ばせているが、どうやら私は昔の巫女さま方より活発(世間一般ではお転婆という)なようで年寄りたちからはよく、もっと落ち着くように諭される。 そういう意味を込めて聖女巫女と呼んでいるのだと思う。 でも、若い世代にはとても親しまれているんだと思う。 バスケットを持ち布をかける。 ワンピースの上からチェニックを着て家を出た。 「行って、きまーす。」 豊かな銀灰色の髪をなびかせ、少女は木々の間に消えて行った。
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