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「旦那さま!」
老齢の執事と思われる男性が声のあらんかぎりを出し、一人の人物を振り向かさせた。
「セバスチャン!
ジェイミーは、ジェイミーはいたか!」
端正な顔を苦悩で歪め、普段は紳士的な態度で誰隔てなく接する彼からはとうてい想像つかないほど取り乱してセバスチャンに掴み掛かった。
「グッ、旦那さま!、グラン様!落ち着いて下さいっ!
…お嬢様はどこにもいらっしゃいませんでした。」
すると執事の主人はますます顔を歪めて苦しげに呟いた。
「…やはり、ジェイミーは…。」
「旦那さま……、
はい。もう一度張り直しましたが感知魔法は作動していませんでしたし、結界を通過するために空けた痕跡があることから、お嬢様は誘拐されたとみて間違いありません。」
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