6人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
もう私はその庭を眺めてはいなかったわ
眩しすぎたの
後ろ見たら真っ暗で
私は次第にこっちのほうが
落ち着くようになったわ
でも何故か双眼からは雫が滴り落ちてばかりだったわ
どれくらい刻が過ぎたのかわからない
突然何かを叩く音が聞こえたの
私は不思議で久々に庭を見たわ
そしたら、青年と少年と少年と女は
私の足の太くて重たい鎖を
斧で叩いていたわ
「何をしているの?」
私は不思議で問い掛けたわ
すると青年はこう答えたの
「一人じゃ外せないんでしょう?もう外せないところまで来てしまったのでしょう?大丈夫、この鎖は君が造った心(モノ)だから。」
「でも私は外せないわ」
少年は答えたわ
「外せないんじゃないよ、外さないんだよ」
「何故?」
少女は答えたわ
「誰かに助けて欲しかったからよ。見てほしかったからよ」
「何故?」
女は答えたわ
「寂しいからよ。」
私やっとわかったの
また双眼から雫が流れ落ちたわ
でも今度は
悲しくて泣いたんじゃないわ
四人は静かに笑んでいたわ
私は後ろを見たの
私の足に巻き付いていた鎖は
跡形もなく消えていたわ
少女は語り掛けてきたわ
「ほら、外せたでしょ」
あぁ…
ありがとう
これで私は動けるわ
皆と居られる
ふと見上げると
四人はいなかったわ
駆け出していつも眺めているだけだった庭に行ったわ
「おかえり」
四人はそこで迎えてくれた。
ありがとう
私を救ってくれて。
ありがとう。
最初のコメントを投稿しよう!