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…何の事…?
「おはよう」
後ろから肩を叩かれた…
驚いて振り返る春海。
そこには…
爽やかな笑顔で春海を見つめる青年がいた。
田口陽介 27歳
一流大学を出たエリート社員
陽介は優しい性格と爽やかな笑顔で竜二と社内の女性の人気を二分している。
二人は同期だが…うまが合わないらしく、仕事以外では話をしているところを見た事が無かった。
「どうしたの?」
目を見開いて驚く春海に陽介が優しい声で尋ねる……
「…あ、すみません。おはようございます…」
「いや…いいよ。何か心配事なら言ってみてね。帰りに時間取るから…」
「い、いえ…何でもありません」
「そう?じゃあ…また後で、今日も頑張ろうね」
また、白い歯を見せてそう言うと陽介は自分が勤めるフロアに行ってしまった。
陽介と春海は…一回だけ商品開発のプロジェクトで一緒になった事があり顔見知りだった。
春海の事を何かと気遣ってくれる陽介に好意を抱いた時期もあったが…
…あの人は優しい人だから、私にまで気を遣ってくれるんだ……
私なんか…好きになってくれるわけないじゃない…馬鹿ね…期待しなければ傷つく事は無いのよ…
と…自分の気持ちを封印してしまった。
…考えても仕方ないし…仕事しなくちゃ…
春海は朝目覚めてから起こった疑問の数々を振り払うように、足早に歩いて行く。
また…長い一日が始まった………
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