不運を運ぶ死骸

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ざくっざくっ… 落ち葉を踏む音が森に響き渡っている。 落ち葉を踏んでいる人間は白髪で、背も高い。 大柄な人間だが痩せていて、見るからに弱そうな人間だった。 肩には木製の大きな鞄を背負っている。 歩く振動でかたかたと渇いた音を出している。 森中の木は葉を全て落し、枝だけが残っている。 その為地面は落ち葉で辺り一面埋めつくされている。 「…もうすぐ冬か。そろそろ冬の身支度をしなくちゃな…」 その人間は立ち止まり、空を見上げて呟いた。真っ暗な空が広がっている。 「里はまだかな」 ぼやきながら目的地に向けて再び歩み始めた。
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