不運を運ぶ死骸

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ギンコは里の長(おさ)に自分は旅のものでしばらく休養のため休ませてもらいたいと頼んだ。 簡単に許可がおりた。 「…これからしばらくお世話になります。蟲師のギンコです」 ギンコは家に着いてすぐ家の人達に挨拶をした。 家族は、祖父、父親、母親、長男の4人家族。 ごく一般的な家庭だった。 「まぁまぁ、そう堅くならんでゆっくりしていきなされ」 「ありがとうございます」 ギンコは軽く頭を下げた。 「ワシの名は陽介。息子の涼介、その嫁のサクラ、そして孫のセイです」 陽介と名乗った老人に紹介され、涼介とサクラはぺこりと頭を下げた。 「うわぁ、おじちゃん髪の毛が真っ白だぁ!じいちゃんとおんなじだぁ!」 ギンコを指差し、笑いながら「おじちゃん」、と言ったのはセイ。 ギンコは眉間にシワを寄せたが、すぐに戻し、セイの頭を撫でながら、 「…俺はおじちゃんじゃない。ギンコだ」 「変な名前!!」 「…!!」 また笑いながら言った。涼介が、 「こら、セイ!…すみません…」 申し訳なさそうに頭を下げた。 「いえ、子供の言った事ですから…」 「白髪のおじさん!!」 再び馬鹿にされた。 その日はずっと 「白髪!!」とか 「おじさん!!」などと言われ続けた。 (この野郎…覚えてろよ)
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