0001 港 タキオ

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届いた小包には、手に収まるサイズの金具が入っていた。 まるで歯の矯正器の様な月型の。 その奥には小冊子が入っている。説明書のようだ。 白紙のページをめくって3ページ目。初めに書いてある文字は。 ──あなたの上の歯は     10ありますか?── 数えた事も無いが舌で数えてみる。親知らずの生えていない僕の歯は多分14本。 改めて数えてみると奥歯あたりがあやふやで、正確な数がよく分からない。 次のページをめくると、同封された歯型の金具を口の中に入れる図が記されていた。 上の歯の裏側にハマる仕様になっているようだ。 得体の知れない物を口の中に入れるなんて抵抗はあるが、軽く水ですすいだだけのそれを僕は口に入れた。 した事はないし裏側だが、歯の矯正はこんな感じだろうか。 上の前歯の裏にハマった金具。所々が透明のゴムみたいな物で出来ていて、大抵の人の口の中にハマるようになっていた。 初めはサイズに違和感があったが、なんとなく歯の裏側でしっくりくる。 歯と歯の間、歯茎の間に心地の良い鋭い痛み。 喋る時や食べる時の邪魔になる様子は無い。 鏡の前で口をイーッとして見たが、金具はうまく見えない様になっている。 口の中の異物を舌で舐めながら、説明書の続きをめくった。  
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