0002 渋谷 サチ

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それにしてもこの客もおかしいやろ。 今 ウチが隣に着いたこいつ。ジュリアの方ばかり見ている。 「タバコ吸い過ぎじゃない?」 ウチはそう言いながら、その男に火を出すと、男は一目ウチを見るだけで、黙って顔を寄せる。 こいつ。マジ何様。あ、お客様やった。 年はウチと同じくらい。つうか顔きもい。アソコだけやたらでかそう。 ウチのことそっちのけで、チラチラとジュリアを見ている。挙動もきもい。 奥でジュリアを指名した男の話からすると、スロットで勝って店に来たんだろう。 来るなザコ。 人が何を話しても「あー」とか「あそー」とか。あ行で終わらせるんよ。さぞかしジュリアがいいんやね。 貧乏ゆすりしちょるし。今日はウチ、機嫌悪いんだ。この卓離れたら、友達に愚痴りまくるけ。 そんなことを考えながらイライラしていると、ザコが突然口を開いて、大きめの声を出した。 「なあ ゲームしない?」 あ、助かる。ジュリアも身を乗りだして「いいよー 何のゲーム?」と言った。 「良かったら君の知ってるゲームを教えてくれよ」 「えー どうしよう」 悩んでる様子のジュリア。ウチもゲームで時間潰してくれた方が助かるから、助け船を出してやろう。 「タバコのやつは?」 「あ いーですね」 ジュリアはグラスに水を入れ、準備を始めた。ティッシュとグラスとタバコと1円玉でできる、簡単な居酒屋ゲームだ。   
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