0002 渋谷 サチ

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やる気は無くても真剣にやろうとした。 けど、こんな時にウチの手はフルフルと震える。 こんな細かい作業したの久しぶりだからだ。別に変なもんを鼻から吸引してるからやない。 ポチャッて、小さな水音。 あ。 1円玉が落ちた。 「あー!」 「あー!」 「ウチ やっちゃったあ」 まあいいじゃん。そろそろボーイに呼ばれる頃だろうし。 その後の空気はひどいもんだ。みんな適当だった。 適当に相槌や、歓声を上げ、結局 最終的に勝ったのはザコ。 奴はタバコ片手に、ウチを見る。 はいはい。ウチが負けまし…。 『 カチッカチカチ 』 口の中から、その音が鳴った瞬間。 ウチの心臓は高鳴り、ドクドクと騒ぐ。 呼吸を整えようとするが、乱れる。何かがウチの中で焦っている。 軽い嘔吐感に、焦りとか緊張の、さらにドギツイ感覚。何やの。 「やらして」 周りの雑音より鮮明に、ウチの耳に届いた最低な言葉。 ウチは確かに「はい」と言った──。  
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