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やる気は無くても真剣にやろうとした。
けど、こんな時にウチの手はフルフルと震える。
こんな細かい作業したの久しぶりだからだ。別に変なもんを鼻から吸引してるからやない。
ポチャッて、小さな水音。
あ。
1円玉が落ちた。
「あー!」 「あー!」
「ウチ やっちゃったあ」
まあいいじゃん。そろそろボーイに呼ばれる頃だろうし。
その後の空気はひどいもんだ。みんな適当だった。
適当に相槌や、歓声を上げ、結局 最終的に勝ったのはザコ。
奴はタバコ片手に、ウチを見る。
はいはい。ウチが負けまし…。
『 カチッカチカチ 』
口の中から、その音が鳴った瞬間。
ウチの心臓は高鳴り、ドクドクと騒ぐ。
呼吸を整えようとするが、乱れる。何かがウチの中で焦っている。
軽い嘔吐感に、焦りとか緊張の、さらにドギツイ感覚。何やの。
「やらして」
周りの雑音より鮮明に、ウチの耳に届いた最低な言葉。
ウチは確かに「はい」と言った──。
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