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──それからウチは仕事を上がり、朝方にザコ、その男の家にいた。
メアドと番号を交換し、彼の指定した彼の家に来たんだ。
多分七畳くらいの1K。ウチの部屋より遥かに狭い。部屋はわりとキレイやけど、灰皿には大量の吸い殻。
男の名前は港 タキオ20歳。自分とタメだった。
さっきからタバコを吸いながら、ずっと本を読んでいる。本というか、説明書?
携帯電話を買った時に付いてくる、ぶ厚い説明書みたいな。
ウチは布団からタキオの様子を見ていた。裸で。
3発うたれた。
この部屋寒い。あたしはせめて下着だけでもと思って、パンツを探した。
「まだ着るな」
タキオの言葉に、ウチは布団に戻り、謝る。
「ごめんなさい」
自分なりになんとなく分かってる。
ウチはこの人に逆らえん。
どう例えたらいいんだろ。
小さい頃、ものすごく怒っている父親の言うことを泣きながら聞いた。そんな恐怖でもあり。
バイト先ですごく尊敬していた店長。彼に指示されたことを、うまくこなしたいと思う緊張感。そんな尊敬でもあり。
愛しくて可愛いダメな彼氏の為に、何かしてあげたい。ウチがいなきゃいけん。そんな奉仕でもある。
今の感情はそのすべて。
うまく言えんけど、恐怖と尊敬と奉仕、さらに緊張。
そこから愛を抜く。
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