0003 杉並 ルシエ

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そいつが相変わらず話しかけてきても、シカトしていると。 突然、髪の毛を触ってきた。 「女の子って頭撫でられるの好きなんでしょ?」とか言ってきたけど、そんなもん相手によるから。 さすがに怖くなってきて「帰る」とだけ残して、車を出ようとしたらバックを掴まれ、押し倒されたんだ。 抵抗して、手を伸ばしドアを開けても、そいつはあたしを押さえつけ、ドアも閉める。 そいつの顔を引っ掻いたり、背中を殴ったりしたけど、女であるあたしの抵抗は、たかが知れていた。 そいつは「オラオラな奴がモテる」とか「女の子は強引な男に弱い」とか、ブツブツ言いながら、無理矢理キスしてきた。 ブニュッとした唇の感触で恐怖を感じたの初めてだった。 他の女の人はどうだか知らないけど、本当に怖い時って、叫べないから。 あたしはただ、泣きながら、そいつに頬や首をキスされた。 そいつにとっては、今の自分は強引な男だとか、ロマンか何かを感じる行為だと思ってるんだと感じた。 嫌がる女も、事が済めば自分の言いなりになるとか、こういう所から恋愛が始まるとか。女は本当は、こういうのを求めているんだろ?とか、興奮するだろ?とか。あたしを犯している最中も、そんなことをブツブツ言っていた。 そいつは本当の意味で、勘違い野郎だったんだろう。  
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