0003 杉並 ルシエ

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ごめんなさいごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい。 あたしは心の中で何度も何度も何度も謝った。 誰に謝ってる訳でもなくて、怖くて悲しくて、軽率だった自分に自己嫌悪して、あたしにも悪い所があったんだと反省したんだ。 けど、どこか冷静な部分のあたしが「すぐに終わる 終わったら帰れる」って、泣いてるあたしを励ましてくれていた。 終わって、そいつの体が自分から離れても、あたしはただ「ひぃ ひぃ」と今までに出した事の無い声で鳴いていた。 すると我に返ったのか、そいつはあたしを無理矢理ドアから降ろし、車を走らせて逃げた。 バッグもパンツもジーンズも、車の中。 あたしは上着とシューズと靴下だけ、下半身丸出しで山の中に取り残されたんだ。 最中よりも、そこからの記憶の方があいまいだった。 覚えてるのは寒さと、透き通った夜に嗅ぐ、自然の匂い。 寒くて寒くて、すごく寒くて。 指先の感覚が無くなる程凍えて、鳥肌を通り越して自分は蝋燭(ろうそく)みたいに固まって、動かなくなるとさえ思った。 呆然と山の中の道路を下り、車や人を探すよりも、とにかく家に帰りたかった。  
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