0003 杉並 ルシエ

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そして途中、若い男の子が3人乗る車に声をかけられたんだ。 「お姉さん 大丈夫?」 安心や恥ずかしさでまた泣いた。 男の子たちはあたしを車に乗せ、山を下りる道にUターンしてくれた。 初めは優しかったけど、数分でそいつらがニヤニヤ笑っている事に気付いた。 山を下りきる前に突然車は止まり、後部座席のあたしの隣に座る1人が、あたしを押さえ付け、運転席の1人もすぐに後部座席のドアから押さえ付けてきた。 助手席に座る1人だけが「やべーよ」「やめようよ」と言っていたが、決して力ずくで助けてくれる感じではなかった。 結局また  された。 最後、偉そうに「送ってやろうか」と言われたが、もちろん断り、3人の若者が乗った車が走り去る。 あたしはその場で座り崩れ、動けないでいた。 涙は出ないけど、きっと動物みたいに唸っていたと思う。 辺りが明るくなる手前、女の子達が乗った車に拾われた。 その子達は親切で、何も言わなくても状況を理解したのか、あたしを警察に連れて行こうと必死に説得してくれた。  
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