分離

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駆け付けた同僚に救急車を手配され、弟はすぐに病院に搬送された。 吹き飛ばされた指は製材機の側にあるおがくずの山に埋もれているのを発見され、先輩同僚が氷を詰めたビニール袋に入れて病院に運んでくれた。 「まー君の指が飛んじゃった」 取り乱した母親から連絡を受けた時、意味が分からずに「はぁ?」と聞き返すと返って来たのは「ボーッとして機械でバーッて木やってたらぼーんて飛んでって探しもらってあったから今病院に来てレントゲン取って手術して付けてんの」 埒が明かないので急いで病院に駆けつけると、待合室には母親と弟の同僚が憔悴した顔で座っていた。 「実は仕事中に……」 事故の状況を説明する同僚の手も、よく見ると指が一本欠けていた。
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