侵入

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その日は何日かぶりの晴天だった。 空に浮かぶ雲は薄く散り散りで、春らしい穏やかな陽の光がさんさんと降り注いでいて空気も爽やか。 そんな気持ちのいい天気のせいか、縁側に干してある座布団の上では飼い猫のトラがだらしなく伸びていた。 久し振りに顔を覗かせた太陽に祖母は喜び、ここぞとばかりに家中の布団を引っ張り出して物干し竿にかけ始め、子供だった私もそれを手伝った。 「今日は寝っ時気持ちいいぞぅ。ポッカポカしんだがら」 祖母はニコッと笑って金歯を輝かせた。
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