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祖母が言うには、日中布団を干している間に物干し竿を伝って来た青大将が、布団カバーの間に入り込み、心地良いのでそのまま中でジッとしていたのだろう、という事だった。
しばらくしてじゃりじゃりと砂利の鳴る音がして、家の駐車場に車が入って来る音が聞こえた。
父親が帰って来たのだ。
「ただいま~……ん?何だ、まだ寝てなかったのか?」
居間に入って来た父親の胸元にはトラが抱かれていた。
私以上に猫好きな父親はトラに頬擦りし、チュッチュッと顔にキスの雨を降らせている。
勿論口元にも。
私の顔は引きつった。
祖母も梅干しを食べたような顔をしている。
私達は青大将が出た話はしたものの、それをトラが咥えていった事は黙っていた。
そして……おそらく喰い殺してしまった事も。
ちなみに父親は大の蛇嫌い。
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