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裾を捲りあげたそこに何があるのか、どんなになっているか、誰もが戦慄を覚えていたに違いない。
遠くでヒグラシの鳴き声が響き始め、太陽が色濃く燃えながら山並みに沈み始める。
体はすっかり冷えてしまっているのに、頭のてっぺんあたりから汗がにじみ出て、すすーっとうなじを撫ででいく。
キーッ!
突然、静寂を破って奇声をあげた宅間が一気にジャージを捲った。
自分が始めてしまった以上、途中で止める訳にもいかず、ましてや仲間内では次期番長候補の誉れ高い宅間にとって、ここで引き下がることは臆病者の烙印を押されたに等しい。
彼は勇気を振り絞ったのである。
ウゥーッ!
あーッ!
最初に宅間、次に樋山、その後の順番は覚えていないが、とにかく全員が悲鳴を上げた。
樋山のすねから、でろりと筋子が溢れていた。
樋山は空き地の傾斜をスキップしたままの格好で落ちた。
そこには排水溝。
フタのような物が何も付いていない、コンクリートの溝。
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